鉄の重み
地球の重さは、約5.974 ×10 ^ 24kg
=5, 974, 000, 000, 000, 000, 000, 000, 000kg
その3分の1は、鉄の重さで占められているといわれています。
鉄は、そこそこ安価で比較的加工しやすく、
人類にとって最も利用価値のある金属元素です。
ビル、橋梁など重量級の建造物や自動車、各種製造機械から
スチール缶など様々な分野で利用されています。
鉄鉱石として地中から掘り出す鉱物資源ですが、
地球上に存在するすべての鉄鉱石を取り出すには限界があり、
限りある資源を永久に掘り出し続けることも不可能です。
金属やガラス、プラスチックなどあらゆる素材の中で、
鉄は最もリサイクル性に優れた素材のひとつということから、
リサイクルによる取り組みで鉄資源を守っていくことが注目され、
また重要な取組みとなっています。
では実際に、どのように鉄をリサイクルするのでしょうか?
建築物解体時に出る鉄骨や、船舶、廃棄自動車、家電製品さらには空缶、スチール家具などの鉄製品を処理するときに、
鉄スクラップ(=鉄くず)が発生します。
また、自動車や様々な工業製品などの鉄製品を製造する工場からも鉄スクラップは発生します。
これらを回収し、不純物を取り除き、加工処理を施して適当なサイズに切断したり、プレス圧縮することで、
初めて資源として活用できる『鉄スクラップ』となり、再び社会の中で活かされるようになるのです。
年間、日本で生産される鉄は約1億トン強ですが、リサイクルからの生産量は、なんとその4分の1を占めています。
これに工場などの加工工程で発生する鉄スクラップ約600万トンを加えると、
日本国内で生まれる『市中スクラップ』は年間約3,300万トンになります。
天然資源がほとんど無い日本にとって、鉄スクラップは非常に貴重な鉄鋼原料であり、
その供給という重要な役割を担うのが、鉄リサイクル業界なのです。
昭和30年代、かつての日本のシンボルマークであった東京タワーが建設されました。
約4,000トンもの鉄が使われる夢の一大プロジェクトでしたが、戦後の復興という時代であり、
かなりの鉄不足にみまわれたため、1/3がリサイクル鉄でまかなわれることとなりました。
日本で初めて大規模なリサイクルが行われた瞬間でした。
山陽では現在、国内5拠点でスクラップ事業を展開し、年間約60万トンを取り扱っています。
この60万トンという数字は、東京タワーで表すと約150本が建設できるほどの量となります。